「申し訳ありません! 遅れてしまいました」  陛下の待つ事務室に駆け込む。陛下にあまりみっともない姿は見せたくないが、仕方ない。  今日は少しスケジュールの調整を誤ったようだ。予定より三十分も遅れてしまった。 「臭っせえなあ。汗ぐらい拭いてから入って来いよ」  部屋の中にいたうちの一人、深緑色の軍服姿の逞しい男性が不快さを露わにする。私が帝国軍人として仕えている、ガーライル帝国皇帝のガルヴェイス・カイルザード陛下だ。  ガルヴェイス陛下は私が遅刻してしたことよりも、私の汗の臭いが気になるようだ。走ってきたから、汗をかいてしまっていた。しかしこんなことになる予定ではなかったので、タオルを持っていない。 「すみませんが、タオルか何かをお貸しいただけませんか?」  あまりこういうことをすべきでないのは分かっている。だが今から自分のタオルを取りに行って、再び待たせてしまうのはもっと避けたい。 「仕方ねえなあ。ラム、持ってるか?」 「はあ。私の使ったものでよろしければ」  陛下の隣にいた黒い軍服の男、ラムゼイスは懐から出したポーチを開け、中に入っていたタオルを引っ張り出す。 「すまん、ラムゼイス」  タオルを受け取ると、一旦部屋から出て身体を拭いた。拭いてもまだ汗臭さが残っているが、仕方ない。再び部屋に入り、タオルをラムゼイスに返す。その時に気付いた。 「おや、そちらのタオルは?」  陛下の目の前、デスクに置かれている畳まれたタオルが目に入った。使用してはいないのだろうか。 「これは駄目だ。俺のだからな。お前にはやらん」  陛下はそのタオルを慌てて私から遠ざける。触れられたくもない、ということなのか。 「はあ。大切なものなのですか?」 「これはな、アッシュにもらったんだよ。ほら、わざわざ俺の名前が刺繍されてるだろ」 「アシュレム殿下に?」  アッシュ……アシュレム殿下は陛下の御子息で、十七歳の少年だ。見目麗しい美男子であり、私もつい心を奪われてしまう。  陛下がタオルを広げると、確かに陛下の名前が刺繍されている。タオル自体もかなり良いもので、触り心地は良さそうだ。触らせてはいただけないが…… 「今日はアレだ。『父親に感謝する日』だからな。毎年俺にささやかな贈り物をしてくれるんだよ」  う、うらやましい……アッシュたんのプレゼントとは……むむむ。 「ちなみに私も持っています」  隣に立っていたラムゼイスもタオルを広げる。陛下のものと同じく、ラムゼイスの名前が刺繍されている。私に使わせたものとは違うものだ。 「どうしてラムゼイスにまで!?」  ラムゼイスは別に血縁でも何でもないはずだ。そもそも生まれは帝国内ですらないのだ。それなのに、どうしてアッシュたんからプレゼントを? 「ラムはアッシュが小さい頃からの世話係だったからな。アッシュにとっては育ての親みたいなものなんだろ」 「光栄なことです」  そう口にしたラムゼイスはとても幸せそうで……むむ、気に入らない。私もアッシュたんからのプレゼントが欲しいぞう……どうすればアッシュたんの父親になれるのか……はっ! 「陛下、今すぐ私と結婚して下さい!」  陛下と結婚すれば、必然的にアッシュたんは私の息子に! そうすれば、そうすればアッシュたんはきっと私にもプレゼントを…… 「お前は馬鹿か。どこにプレゼント欲しさにその父親と結婚したがる奴がいるんだ」 「ここにいます!」 「黙ってろ。プレゼントもらう機会なんて、他にいくらでもあるんだ。今日にこだわる必要ないだろ」 「はあ……」  それもそうだ。あまりにもうらやましすぎて、冷静な判断ができなくなってしまっていたようだ。プレゼントをもらいたければ、素直に仲良くなればいいのだ。恋人同士にでもなれば、きっと私にもプレゼントを…… 「ま、うちのアッシュはお前になんぞやらねえけどな」 「ぬうう……」  私はこういうことに関してはどうしてこんなにも信用度が低いのか……確かに何人もの女性を相手に子供を作っているけれど、それぞれと結婚もしているし、子供達の世話もしている。男の恋人に対してだって…… 「それより、お前は自分の息子からは何かもらってないのかよ? 沢山いるだろ」 「はああっ!」  そう言えば、私は何人もの子供がいるのに、この日にプレゼントをもらったことが一度もない! 何故なんだ! 「……子供達に好かれてないんですね」 「そんなことないぞっ! 私のことをはっきりと好きだって言ってくれる息子もいるぞっ!」 「でも、一度ももらっていないんでしょう?」  そうだ。どうしてなんだ。息子達が誰もこの風習のことを知らないのだろうか…… 「すみません。急用ができてしまいました。ではっ!」  確かめに行かなければ! 部屋を出る私に、後ろからあきれたような声が飛んできた。 「何しに来たんですか、あなたは……」 「ショックを受けに来たんだろ。放っておいてやれ。どうせ別に急ぐ仕事でもないんだし」 「そうですね。放っておきましょう」  まずは一人目だ。 「リゲルトン、いるか?」 「はーい、とーさまー」  声を掛けると、部屋の中からのそのそと大きな影が出てきた。巨人種の血を引くため、三メートルを軽く超える巨体を持つリゲルトンだ。 「リゲルトン、お前は私のことが好きか?」 「うん。おれ、とーさまのこと好き」 「そうかそうか。私もお前のことが大好きだぞ」  ああ、リゲルたんは可愛いなあ。子供達の中で一番、曇りない素直な気持ちで私のことを好きだと言ってくれるのはこの子だ。抱き締めてやりたいが、体格差がありすぎてそう簡単にはいかない。 「ところでリゲルよ。今日が何の日か知っているか?」 「んと……わかんない。ええと……ねえ、ドクー」  リゲルが部屋の中に呼びかけると、今度は小柄な少年……に見える男が出てきた。幼形矮人種の血を引くために身体は小さく、見た目は子供に見えるがリゲルより年上だ。名前はドックァルト。私の可愛い息子達の一人だ。リゲルとは母親が違うが仲が良い。 「なあにー? あ、父様だ」 「丁度良かった。ドク、お前にも聞こう。お前は私のことが好きか?」 「好きですよー、もちろん。急にどうしたんですか?」  うむ。やはりこの二人は素直に好きと言ってくれるな。だが、どうして私にプレゼントをくれないのだろうか。 「今日が何の日か知っているか?」 「今日? ええと……あ」  私の問いに、すぐに求められている答えに思い当たったらしいドクが気まずそうな表情を浮かべる。そして何やらリゲルに耳打ちする。それで、結局答えたのはリゲルの方だった。 「とーさま、おれ、そのこと知らなくて……何にも用意してない。ごめんなさい」 「いや、いいんだ。知らなかったのなら仕方ない」  まあ、仕方がない。私のことを好きだという言葉だけで満足しておこう。 「すみません。僕は知ってたけど、忘れてました。昔は何か用意しようとしてたけど、いつも父様この時期は忙しくて会えないから……」  ドクがそんなことを言う。そう言えば考えてみればそうだ。毎年この時期は帝国軍の公開演習の準備が忙しくて、それどころではないのだ。今だって本当はこんなところに来ている時間はないのだ。どうして私だけがこんなに忙しいのだろうか。 「そう、か。それで私は一度もこの日にプレゼントなどをもらっていないんだな」  考えてみれば、この日やその前後に子供達に会ったことなどなかったかも知れない。もらったことがないわけだ。 「むー、おれ、とーさまにプレゼントしたい。ドク、何かないかな」 「えー、そう言われてもなあ……あ、そうだ」 「え、なになにー」  ドクが部屋の奥に引っ込むと、リゲルも後を追いかける。しばらく待っていると、後ろ手に何かを隠してリゲルが戻ってきた。 「どうぞ、とーさま」  リゲルが差し出したのは小さめの紙袋だ。「リゲルトンから愛する父へ」と汚い字で書かれている。それを受け取った私の顔はおそらくだらしなくゆるんでしまっていることだろう。 「おお、開けてもいいのか?」 「うん。どうぞー」  何が出てくるのか期待しながら袋を開けると、中からふわっと甘い香りが広がった。どうやらパウンドケーキのようだ。 「はい。こっちもどうぞ、父様」  続けてドクからも同じような紙袋を渡される。こちらには綺麗な字で「ドックァルトより愛する父へ」と書かれていた。中をのぞき込むと、こちらもパウンドケーキのようだ。少し色が違うので、味は違うのかも知れない。 「両方私がもらってしまっていいのか?」  自分たちで食べるために用意してのではないのかと思っていたら、そう言うわけではなかったようだ。 「これ、実はリゲルの魔術訓練の一環で作ったんです。魔術を料理に活用するには繊細な調整が必要になるので、制御の腕を試すには丁度良くて。それで、こっちが見本として僕が作った方で……」 「こっちはおれが作ったんだよ、とーさま」 「ほう」  そう言うことか。うむ、納得。訓練の副産物とはいえ、二人が作ったものをもらえるとは。ああ、来て良かった。  味見をしてみよう。リゲルの作ったケーキを出し、魔術で少しだけ切り分ける。ドライフルーツの入ったケーキを口に運ぶと、お店の味とまでは行かずとも充分においしい味が口に広がる。これをリゲルが作ったのか。 「頑張ったな、リゲル。なかなか良くできてる。うまいぞ」 「えへー」  リゲルに腰を下ろさせ、頭を撫でてやると幸せそうに笑みを浮かべた。ああ、可愛い奴め。 「父様がもらってくれるなら、これからは毎年何か用意しますよー」 「気持ちは嬉しいが、来年のこの時期にこうやって会う時間が取れるかは分からないな……」 「じゃあ何とかして父様の手元に届くようにしますね」  それだけ言うと、ドクは挨拶をして部屋の奥に戻っていった。ドクも何かと忙しいようだ。対してまだまだ訓練中のリゲルはのんびりしている。私にぎゅっとしがみついて、ズボンの上から私の股に顔を埋める。 「んむー、とーさまの匂いー」 「こらこら。そんなことをすると、私も我慢できなくなってしまうぞ」  もっと可愛がってやりたいが、あまりゆっくりしていられない。そんな私の言葉が聞こえたのか、ドクの声がここまで届く。 「リゲル、父様は忙しいんだから、あんまり無理言っちゃ駄目だよ」 「あう、ごめんなさい、とーさま」  リゲルが慌てて離れる。その寂しそうな顔と膨らんだ股間を見ると、結局こちらが我慢できなくなってしまう。 「リゲル、立ちなさい」  指示通りに立ち上がったリゲルの、ズボンの上からその硬く張りつめた一物に触れる。身体が大きい分、ここも大きい。 「お前の精液を味わわせてくれるか?」 「はい……とーさま」  リゲルは少し恥ずかしそうに答え、自分でズボンとパンツを下ろす。巨人種ならではの巨大な一物が天を向き、そそり立っている。情欲を刺激するそれに、私は大口を開けて頭からかぶりついた。 「うあうっ……」  先端に舌で触れただけで、大きな身体がびくんと揺れる。何とか亀頭を口に収め、同時にサオを両手で握って扱いてやる。本当はじっくり責めてやりたいが、そうも言っていられない。 「あああ、とーさま、おれ、気持ちいい……」  気持ち良さそうなリゲルの声を聞きながら、口の中に広がる先走りを味わう。しょっぱい味は普通人種と何ら変わらないが、量はやはり多い。  もっと感じさせてやりたくて、苦しさに耐えながら頭と口を動かして責め立てる。私の舌が動くたびにリゲルは身体を震わせるが、両脚を踏ん張って耐える。身体に合わせて一物も大きいリゲルは、こんな刺激になれていないのだろう。立っているのがやっとのようだ。  ゆっくりはしていられないので、そろそろイかせてやろう。口は鈴口周辺までを覆うにとどめ、舌で裏筋を舐める。同時に両手で上下に扱いてやると、リゲルの手が私の頭に触れる。 「うう、とーさま、おれ、もう駄目だっ! ざーめん出ちゃう、ああ、とーさまっ!」  リゲルの巨体が一際大きく震え、一物は手の中で脈動する。そして、私の口の中にたっぷりと精液を注ぎ込んでくれる。いきなり飲み下さず、まずは全てを口の中に収める。一物を吐き出し、舌の上で大量の精液を転がし、味わう。それから飲み下すと、独特の生臭さが喉から鼻に抜ける。  それからリゲルの一物を再び口に含む。尿道に残ったわずかな精液を絞り出し、鈴口周辺を綺麗に舐める。途中でリゲルはぺたんと腰を落としてしまった。射精直後の敏感な一物への責めには耐えられなかったようだ。 「気持ち良かったか、リゲル?」  リゲルは顔を赤らめて、こくんと頷く。その姿が愛おしくて、ぎゅっと抱き締めてしまった。  さて、次は…… 「サイファート、いるか?」  ノックして声を掛けたが、反応がない。残念ながら留守のようだ。諦めて他のところへ行こうと思い、振り返るとそこに紺色の軍服姿の若い男が立っていた。しっかりと筋肉の付いた身体に精悍な顔つき。見間違えるわけもない。 「父上、何かご用ですか?」 「おお、丁度良かった。サイファート、中に入ってもいいか?」 「はい、どうぞ」  ちょうど自分の部屋に戻ってきたところのサイが鍵を開け、私を中に招き入れる。  帝国軍の寮の、何ということのない一人部屋。決して広くはないが、片付いていて狭苦しさは感じない。サイは私を小さなテーブルに着かせ、お茶の準備をする。 「すみません、何もなくて」  良い香りを漂わせるカップを私の目の前に置く。自分は座らずに立ったままだ。 「急に押しかけた私が悪いんだ。ほら、そうかしこまるな。お前も座れ」 「はい」  サイはどうも堅苦しくてな。私のことを父親としてより、ガルヴェイス陛下のすぐ下で動いている軍人として見ているようだ。だから私の言うことは素直に聞いてくれるのだが…… 「それで、ここに来た理由なんだが……サイファート、お前は私のことが好きか?」 「はいっ! 父上のことは尊敬しております。嫌いになどなるわけがありません」  こうなんだよな。私のことを尊敬してくれているのは嬉しい。だが、それはあくまで帝国軍人としての私だ。父親としての私のことをどう思っているのかは答えてくれない。サイはそれらを切り離して考えることができないようだ。 「そうか……ところで、今日が何の日か知っているか?」 「今日ですか? 今日は……『父親に感謝する日』ですね。認識はしていたんですが、父上に何を贈ればいいのか迷っているうちにいつも過ぎてしまって……」  おおお、なんと。サイはその場しのぎの嘘をつくような人間ではないから、本心だろう。 「うむうむ。その気持ちだけでも嬉しいぞ。私はお前のことが大好きだっ!」  こぼさないようお茶を飲み干してから、サイを立ち上がらせて抱き締める。 「気持ちだけではなく、何か贈りたいです……今からでも何か用意してきます」 「いや、そこまではしなくていい。くれるとしても、今手元にあるものでいいぞ」  部屋を出て行こうとするサイを引き留める。私のために金を掛けさせたいわけではないのだ。 「しかし、手元にあるものなんて、着替えを除くとこれぐらいしか」  サイが部屋の隅にある箱を開けると、様々なものが入っていた。統一性がなさそうに見える雑誌や新聞などは、陛下に関する記事や写真が掲載されているもののようだ。陛下のヌードなどが掲載されているポルノ誌まである。バインダーを手に取ったら、中には陛下の写真が並んでいた。市販されているトレーディングフォトカードだな。ではこの封筒は…… 「それは陛下以外の写真ですよ」  それを聞いて、すぐに封筒の中身を確認した。出てきたのは先代の皇帝であるグファイト様の写真が数枚と、陛下の御子息であるアシュレム殿下のお写真が数枚。アシュレム殿下のお姿は何度見ても良いものだ。しかし残念ながら殿下のお写真は全て私も持っているものだった。 「あ、まだ開けていないパックがあります」  そう言って、慌ててどこかから出してきたのは未開封のトレーディングフォトカード。中には陛下の写真が三枚入っているのだが、まれにアシュレム殿下の写真などが入っていることも。サイがそれを開封し、一枚ずつ確認する。  一枚目は横を向いた陛下の写真。深緑色の軍服をきっちりと着ていて、制帽もかぶっている。 「制帽つきは数が多くないんです。これは持っていますが」  そうなのか。私は殿下の写真以外には興味がなく、パックを普通に買ったことはないので知らなかった。二枚目は全裸の陛下が肉付きの良い男を後背位で貫いている姿だ。カメラに得意気な顔を向け、右手の親指を立てて突き出している。 「これは『ドヤ顔サムアップ』と呼ばれるシリーズですね。この写真は持っていませんが、父上が欲しいのなら……」 「いや、結構だ。お前が持っているといい」  陛下の写真をもらっても困るのだ。さて、三枚目は…… 「これは最近初めて出てきたものですね」  初めて見る写真だった。いつも通り軍服姿の陛下が後ろから腕を回しているのは、軍の売店で売っているコートを着た美男子。アシュレム殿下だ。笑顔の陛下に対して、殿下は困っているような、恥ずかしいような複雑な表情だ。殿下はこういう表情がまた可愛らしいのだ。 「こんな写真があったのか。殿下のお写真は一通り持っているはずなのだが、これは知らなかった。いつもバラ売りしている店で殿下のお写真だけ買っているんだが……」 「最近出た中ではかなり出にくいものですし、陛下の写真を求めている者にとっても欲しいものですから。殿下だけを目的にしている方の手元にはなかなか回らないのではないかと」  そう言うことか。見たことがないわけだ。 「どうぞ、父上がお持ち下さい。自分は既に一枚持っているので、気になさらずに」 「そうか? では遠慮なくいただこう。ありがとう、サイファート」  ああ、良い息子を持ったものだ。今日ここに来て良かった。 「ブルラック、いるか?」  ドアをノックするが返事はない。だが部屋の中からは物音がするし、微かに声も聞こえてくる。これは……確認しなくてはな、うむうむ。  念のため部屋のネームプレートを確認する。確かにブルラックの部屋だ。鍵のかかっていないドアをゆっくりと、音を立てないように開ける。足音を立てずに中へと入ると…… 「うくうう、うあああっ! もう、駄目だっ!」 「もう少し我慢だ。でないと後が辛いぞ」 「んぎいいいっ……」  そんな声が聞こえてきた。喘ぎ声はブルラックのものだな。もう一人、責めている方の野太い声は……聞き覚えがないようだ。  声の聞こえてくる部屋に入ると、汗と何かが混ざったような、雄の匂いがむわっと漂ってくる。興奮を抑えて、なるべく平静を装って部屋の中の様子を確認する。ベッドの上には二人の全裸の男がいた。どちらもしっかりと鍛えられた良い身体だ。  うつぶせで顔をクッションに埋め、尻を突き出しているのは私の可愛い息子の一人、ブルラックだ。龍人種であるため身体は鱗で覆われていて、頭には角、背中には小さな翼がある。太い尻尾はもう一人の男の肩に担ぎ上げられていた。  もう一人の男は、黒っぽい獣毛に覆われた犬系獣人だ。耳は本来は垂れ下がっていたのかも知れないが、途中で切られてしまっているのかぴんと立っている。とにかく迫力のある顔つきで、体格はブルラックとあまり変わらないのに妙に威圧感がある。身体のあちこちに刻まれた傷痕も威圧感を増す要因になっている。  ブルラックは尻を貫かれ、声を上げていた。その行為がどの程度続けられていたのかは分からないが、ブルラックはもう限界が近いようで、入ってきた俺に気付く余裕もないようだ。相手の方はまだまだ余裕があるのか、私に気付いて口元にうっすらと笑みを浮かべる。 「ほら、今度はこっちだ」  犬系獣人が手で促し、ブルラックをベッドから下ろさせる。指示通り壁に手を突いて尻を突き出させ、後ろから尻尾を掴んで担ぎ上げる。ぽっかりと開いて蠢く尻穴に、それなりの大きさのある一物を一気に押し込んだ。 「うあああっ!」  目をぎゅっとつぶり、口をだらしなく開けて声と涎を漏らす姿はいやらしく、愛おしかった。ああ、それでこそ私の息子だ。今すぐにでもぽたぽたと滴を垂らしている股間のものにしゃぶりつきたいぞ。 「そろそろイきたいか?」  湿った音を立てて一物を抜き差しさせながら尋ねる犬系獣人。ブルラックはがくがくと何度も頷いて肯定の意志を示す。そのブルラックが見えない位置で、相手の男はいやらしい笑みを浮かべる。 「よし。じゃあそろそろイってもいいぞ」  抜き差し、えぐり込みを激しくしながら、犬系獣人の手が下からすくい上げるようにブルラックの顎を掴む。そして、私のいる方向を向かせてから告げる。 「ほら、お前がイくところをギャラリーに見せてやれよ」 「あああ……あ、うああっ!」  やっと私の存在に気付いたブルラックが全身を大きく震わせる。それを合図にしたかのように、ブルラックの一物から精液が漏れ出る。後ろではあの迫力のある顔が苦しそうに歪んでいた。最後に強い一突きをして、腰の動きを止めた。  やがて尻を貫いていた一物が引き抜かれると、ブルラックは力が抜けたように座り込んでしまった。 「うう、どうして親父がいるんだよ……」 「可愛い息子に会いに来たからだ。決まっているだろう」 「ああ、あなたがリックハルト殿ですか。初めまして。私は市街警備隊所属のダウバールという者です。以前仕事上であなたの御子息殿と出会い、意気投合しまして」  ダウバール……聞き覚えがあるな。そうだ、陛下が「市民の安全を守りつつ性欲の処理までしてくれる、警備兵の鑑だ」とおっしゃっていたな。確か通称、犬のお触りマン。大義名分を掲げて堂々と痴漢行為をするうらやましい……じゃない、とんでもない男だ。仲良くなれそうな気がするぞ。 「と言うわけで……御子息殿を私に下さい」  おお、ついにこの日が来たか。私の知らないところでこんなにも愛を育んでいるとは。しかし…… 「駄目だ。お前が婿養子なら許す」 「おお、その方が嬉しいです。まさか私がホワイトルーク家の一員になれるとは……感激です」  私の家は「代々優秀な軍人を排出する名家」ということになっているからな。一応。 「私も息子が増えるのは嬉しいぞ。ブルラックは見ての通り怠け者だが、仲良くしてやってくれ」 「はい、義父上(ちちうえ)殿!」  ダウバールはきっちりと姿勢を正し、深緑色の制帽だけ被ってから敬礼をする。なかなか好ましい男じゃないか。こんな状況でもまだ勃起したままなのがまた良いな。 「勝手に話を進めるなよう……」  ブルラックだけが不満そうだ。こんないい男が相手で、何が不満なのだろうか。 「何だ、お前はこのダウバールたんのことが気に入らないのか? お前がいらないのなら私がいただくが」 「そうじゃなくて……急すぎるし、結婚までしなくたっていいだろ。どうせ家はヴィクターあたりが継ぐんだろ? 別に養子をとる必要もないし……親父だって男の恋人とは結婚してないだろ?」 「私の場合、結婚しているのはあくまで子供のためだ。子供ができていなければ、結婚に至る程に深く付き合った相手などいない。男女ともにだ」  私は男に対しても女に対しても、欲情はしても恋はしていないのだろう。何人もの女性に子供を産ませ、結婚までしているがそのうちの多くはそもそも行きずりの関係だ。恋愛というプロセスはなかった。 「私は自分がおかしいことを自覚している。戦場で何かが壊れてしまったのだろうな」  若い頃、派遣友軍として同盟国の戦争に参加した。その時の経験が今の私を作っている。良い意味でも、悪い意味でもだ。過去を否定する気はないが、人に自分と同じ道を歩ませたくはない。 「お前には幸せになってもらいたい。だから、今すぐでなくてもいい。私のように子供のためではなくて、自分のために結婚してくれ」 「親父……」  私の言葉を聞いて、ブルラックはダウバールの方をちらりと見てから恥ずかしそうにうつむく。両想いではあるようだが。 「でも、ほら。俺、まだもうちょっと……なんて言うか、遊びたい、な」 「それは気にしなくてもいいんじゃあないか? ダウバール、お前だって結婚したからと言って痴漢行為……じゃない、酔っぱらいの性処理を止めるわけじゃないだろう?」 「はい。それは私の使命ですから。止める気はありません」  陛下の許しを得たおかげか、堂々としているな。 「それじゃあ別に、結婚しちゃってもいいかなー。結婚してもハッテン場とか行っていいの?」 「まあ、どうせ職場が離れてるから、結婚してもすぐには一緒に住めないからな。性処理と結婚は別で考えるしかない。もちろん、会えるときはお前とセックスしたいが」 「じゃあ、今と何にも変わらないのか」 「変わるのは主に俺の方だな。家族ができるってのは俺にとっては大きな変化だ」  ダウバールは少し照れくさそうに言う。そうか。確かこの男は…… 「そうか、お前生まれは帝国じゃあないんだっけ」 「ああ。もう小さい頃のことはあまり覚えていないが、いい環境ではなかったような気がするな。記憶にあるのは孤児として帝国に来てからだから、生まれが外国と言うだけだな」  この国は外国の戦災孤児などを多く受け入れているため、そう言った子供は多い。それ以外にも、国によっては扱いが悪かったりする獣人種などが帝国に逃げてくることもあったりする。ダウバールの場合は……両方かも知れない。 「昔から家族ってのにちょっと憧れててな。結婚はしてみたかったんだよ。まあ、今までそんな相手には巡り会わなかったんだが」 「でも、結婚したって住むところが別なら、今までとあんまり変わらないんじゃないか?」 「別に何かが変わらなくたっていいんだよ。ただ、何もなかった俺に帰る場所ができる。それだけで充分だ。どちらかが物足りなくなったらその時に考えればいい」 「うーん、一応もう少し考えさせてくれよ。別に急がないといけないわけでもないだろ? お前のことは好きだけど、急すぎるんだよ」  そう簡単には落ちないか。残念だ。息子が一人増えるのはまだ先になりそうだな。 「ところで親父、俺に何か用事でもあったのか? この時期忙しいんじゃなかったっけ」  ああ、肝心な用件を忘れるところだった。まだまだ回らなければならないのに、ここでいつまでも時間を掛けていられない。 「お前、今日が何の日か知っているか?」 「今日? 何かあったっけ?」  ブルラックは隣のダウバールに話を振る。自分ではまるで思い当たらないのか。残念だ…… 「今日は……ああ、そうか」  どうやら知っていたらしいダウバールがブルラックに耳打ちする。聞いたブルラックはしばらく腕を組んで考えていたが、やがて自分の財布を開いて何かを手渡してきた。 「こんなものしか」  渡されたのは紙片が何枚か。最初に目に入ったのは聞き覚えのある店名。知ってはいるが行ったことのない、ゲイ向けのSMクラブだ。どうやらその店のチケットのようだ。予約制だが公開調教が受けられるという。ほほう。 「お前にもこういう趣味があったとは。調教ならする方も得意だぞ、私は」 「貰い物だよ。使わなかったからこうして手元にあるんだって」  むう、そうか。残念だ。こんなものを誰からもらったのかは聞かないでおいてやろう。  よく見ると公開調教のチケットは一枚だけで、それ以外は平凡なサービス券だった。まあ、SMクラブなら行くからいいが……む、一枚違う店のものがあるな。その一枚を見せながらブルラックに尋ねる。 「これはSMクラブじゃあないな?」 「ああ、それは俺が常連の店のやつだよ」  マッサージ店か。とろとろスライムマッサージ? マッサージ用に作られた魔導生物を使ったもののようだ。 「悪くはなさそうだが、これは……」 「抜きサービスアリ……というか逆に、止めないと何発でも搾られるよ。使ってる人工魔導生物がすげえスケベでさあ」 「素晴らしいじゃないか。時間があるときにでも行ってみよう」  しばらくはそんな時間もないし、余計なところで体力を使っていられないので大分先になりそうだ。 「さて、ここでいつまでもゆっくりしているわけにはいかないな。ブルラック、父の日に良いプレゼントをありがとう」 「そんな大した物でもないんだけど」 「いやいや、いいものを見せてもらったからな。お前の感じている姿、しっかり目に焼き付けたぞ」 「そっちかよ!」  もちろんチケットもありがたいが、息子がセックスする姿など、そう簡単に見られるものじゃあないからな。 「じゃあ私は行くぞ。ダウバール、ブルラックのことはよろしく頼むぞ」 「はい」  挨拶をして立ち去る。ダウバール……なかなかいい男じゃないか。早く私の息子になって欲しいぞ。  自宅に戻ってきて、いるはずの二人を捜す。 「おい、ヴィクター。いるのか?」  事務室を覗くと、軍服姿の若い男がデスクに向かって書類仕事をしていた。声を掛けた私の方をちらりと見て、視線をすぐに元に戻す。 「何かご用ですか、父上」  うむむ、やはり忙しそうだ。ヴィクターは普通人種で、体格は訓練を受けているからしっかりと鍛えられているが、特別大きいわけでもない。何か尖った部分があるわけではないが、真面目な性格で、何をやらせてもしっかりとこなしてくれる。男に性的な興味は一切ないのが残念だ。  ここであまり時間を掛けるとヴィクターに嫌われてしまう。手短にいこう。 「お前は……私のことが好きか?」 「それはもちろん、実の父ですからね。帝国軍人としても尊敬しています」  ああ、良かった。ここで余計なことは言わないようにしよう。 「そうか。それで、だな。今日が何の日か知っているか?」 「そうですね。関係ありそうなのは……『父親に感謝する日』でしょうか? こんなもので良ければどうぞ」  ヴィクターが手渡してくれたのはタオルのセット。一応今日のためのもののように見える。 「アシュレム殿下が陛下にタオルを贈るという話を耳にしまして。急だったもので、大した物は用意できませんでしたが」 「いや、嬉しいぞ。わざわざ今日のために用意してくれていたんだな。ああ、お前という息子を持って幸せだっ!」  感極まり、ヴィクターを抱き締めようとしたらするりとかわされた。何故だ…… 「さあ、父上も忙しいはずでしょう。早く……」  私を仕事に戻らせようとするヴィクターの言葉を遮り、うるさい足音を立てて事務室に誰かが入ってくる。  二メートルを超える大きな身体に、鷲の頭と大きな翼。下半身はライオンらしき獣毛に包まれ、それらしい尻尾まで垂れ下がっている。腰にバスタオルだけを巻いた状態だ。丁度シャワーでも浴びていたのか。 「親父、帰ってたのか」  その姿に見覚えはなかったが、誰なのかはすぐに分かった。またか。この男は…… 「ウィルカーブ、また姿を変えたのか」 「おう。時代は今キメラ因子だぜ」  ウィルカーブ。私の息子の一人で、ヴィクターにとっては母親も同じ、実の兄だ。なので、本来は普通人種なのだ。それなのに、遺伝子のブランクを書き換えてこんな姿になっているのだ。  ウィルカーブは少し会わないでいるといつも姿が変わっている。以前は普通の獣人種の姿も多かったが、普通に飽きたのだろうか。能力的には文武両道と言えるが、性格に難がありすぎる。 「そうだ、親父にあれやるよ」  そう言うと、ウィルカーブはどたどたと駆けていく。戻ってきたときには紙袋を持っていた。その中身は…… 「これこの間買ったんだけどよ、それから体型変えちまったからサイズが合わなくなっちまってさあ」  それは首輪だった。見た目は大型犬用あたりに見えるが、確かこれは……ペット用ではなくてプレイ用だな。今身につけてしまうと抑えられなくなりそうだ。我慢しよう。 「ありがたくいただこう。時間に余裕ができたら使わせてもらおう」 「おう。使うときは俺も混ぜてくれよ」  ウィルカーブはとにかくスケベで、老若男女問わず手を出してしまう。そう言う部分は私に似たのだろうなあ。女性相手の場合、避妊はしているようなので私のように子供をあちこちで作ってしまう、などと言うことはないが。  ウィルカーブが着替えを取りに自室へ。残された私に、ヴィクターが冷たく言い放つ。 「用件が終わったのなら早く仕事に戻って下さいね」 「うむ……」  ヴィクターは本当に私のことが好きなんだろうか…… 「と言うわけだ。分かったか?」 「いや、待ってくれよ。それでどうしてこんなことになってるんだ?」  私にベッドに押し倒されているランドルファが抗議の声を上げる。  私の可愛い息子の一人、ランドルファは虎型の猫科獣人だ。所属は一応警備隊だが、格闘家の方が本業だ。どんどん格闘家として伸びてきているようで、私も鼻が高い。 「分からないのか。今日は『父親に感謝をする日』だから、お前にプレゼントをもらいたいのだ」 「プレゼント欲しいなら今から何か買ってくるって。大人しく待っててくれればいいのに」 「いやいや、お前も余裕があるわけじゃないだろう? だから、今のお前にできるプレゼントをもらうことにした」  ランドルファはまだまだ収入が多いとは言えない身のはずだ。余計な負担は掛けさせたくない……と言う建前だ。 「今までお前と何度かセックスをしたが、本来の姿のままのお前の尻を掘った記憶がない。何故かお前はよくボーグウッドの姿をしていたからな」  姿を変えたところで、息子だと分かってしまう。気付かないふりをすることもあるが。 「お前が悪いんだぞ。そんな下着姿で無防備に寝ていれば私が欲情してしまうと分かっているだろう」  部屋に入ったらランドルファはTシャツとトランクスだけの姿で、何も掛けずに仰向けで寝ていた。ゆったりとしたトランクスの中で窮屈そうに存在感を示している一物のせいで、私は抑えられなくなってしまった。その結果、今に至る。  再び唇を重ねる。舌を入り込ませると、ランドルファも応えてくれる。その少し恥ずかしそうな表情がたまらなく愛おしい。 「んんっ……自分の息子に欲情する親ってどうなんだよ?」 「お前も人のことは言えないだろう?」  下着の上からランドルファの一物を掴む。話をしている間に萎んでいたが、キスをしただけで再び硬く張りつめていた。これが欲情している証拠でなくて何なのか。 「だってよう……親父、結構格好良いし、エロいし……すげえ巧いんだもん。親父とセックスしたら気持ちいいって身体が覚えちまってるんだよ!」 「おお、そんな風に思ってくれていたんだな。よしよし、今日も気持ち良くしてやるぞ」 「うああっ!」  ランドルファの両脚を持ち上げ、トランクスを取り去る。晒された尻穴に指で触れ、呪文を唱えて軽く洗浄する。それからそこに舌を這わせて、優しくほぐしていく。  始まってしまえば抵抗する気はないようで、私の責めに身をよじり、わずかに声を漏らす。責めを尻尾の付け根から蟻の戸渡りまでに広げると、恥ずかしそうに顔を腕で覆ってしまった。  私は更に責め進め、常に携帯しているローションを使って尻穴に指を挿れる。ほじくり、広げるように動かすとランドルファは身体をびくんと震わせる。指を増やし、更に広げていく。 「あああ……」  いつしか尻穴は充分に広がり、ランドルファのTシャツは自分の漏らした汁でじっとりと濡れていた。両脚を下ろしてやり、私に負けない大きさの一物を口に含む。 「んあああっ!」  反応が良いな。だが簡単に終わってしまっては困るのだ。一物への刺激は諦め、服を全て脱ぐ。今度は私が仰向けになると、口に出さずともランドルファは私の意図を理解する。起き上がり、汚れたTシャツを脱ぎ捨てる。  もちろんずっと勃起しっぱなしの私の一物に、ランドルファの舌が絡みつく。全体をさっと湿らせただけで舌は離れてしまうが、代わりにランドルファ自身が跨ってくる。私の一物を掴んで上に向け、そこに腰を落としていく。 「ん、ぐ、ああああっ!」  ランドルファの尻穴がこじ開けられていく。尻を掘られることに慣れているランドルファにとっても、私の一物は大きすぎるのかも知れない。だがランドルファ自身の一物が萎えることはなく、やがて全てを呑み込んでしまう。その頃には私の腹はランドルファ漏らした汁でぐっしょりと濡れていた。指ですくい取り、口に運ぶ。うむ、うまい。 「どうだ、全部、入ったぞ」  そう言って、ランドルファは私の胸に手を突いてゆっくりと自分の腰を動かす。少しきつい雄膣に締め付けられ、私もすぐに搾り出されそうになってしまう。駄目だ、まだ勿体ない。 「良い子だ。もっと感じさせてやるぞ」  ランドルファの腰をがっしりと掴み、私も下から突き上げて責め立てる。攪拌するようにえぐってやると、ぐちゃぐちゃと湿った音が部屋に響く。強い刺激から逃れようとランドルファが身をよじるが、身体にまるで力が入っていない。  やがてランドルファは倒れ込むように私に覆い被さってきた。その大きな身体をぎゅっと抱き締めてやりながら、尻の奥に何度もえぐり込む。 「んぐうっ、うう、あうううっ!」  一突きするたびに大きな声を上げ、開いたままの口から私の身体に涎が垂れ落ちる。それを受け止めるように口付けると、ランドルファは全身を大きく震わせた。同時に雄膣がぎゅうっと締まり、私の一物を締め上げる。 「私もイくぞ。受け止めてくれ!」  我慢できずに私もランドルファの奥に精液を流し込む。我慢していた分、快感も大きかった。  ランドルファはしばらく動けずにいたが、やがて恥ずかしそうにこう言った。 「なあ、その……このままもう一発……駄目か?」  ああ、駄目なわけがない。その言葉だけで私の一物は再び元気を取り戻していた。 「申し訳ありません、遅くなってしまいました」  陛下の待つ事務室に入ると、すぐにラムゼイスが睨みつけてきた。 「臭いですよ。少しは綺麗にする努力をしたらどうです?」 「シャワーを浴びる時間も惜しかったのだ。仕方ないだろう」  だが、ランドルファとセックスをしてそのまま、と言うのはまずかっただろうか。 「シャワーを浴びる時間はないが、実の息子と三発もヤる時間があったんだな」  ぐぬう、陛下にすっかりばれてしまっている……さすがに調子に乗りすぎたか。 「すみません、我慢するつもりだったのですが……寝ている息子の無防備な下着姿を見たらつい……」  正直に謝罪しておく。何の言い訳にもならないが…… 「それじゃあ仕方ねえよなあ。俺もうちのアッシュが下着だけで寝てたら我慢できねえなあ。現に何度か……」  ああ、想像してしまう……アシュレム殿下が下着姿でお休みになっていたら……ああ、興奮してきてしまった。先程ランドルファを相手に三発も出したばかりなのに。 「下着姿で寝るのはお世話をさせていただいていた私の影響でしょうね……以前はよく添い寝をさせていただいたものです」 「ああ、一緒に寝るとぎゅーっとしがみついてきやがって、可愛いんだよなあ」  むむむ、アッシュたんと添い寝とはうらやましい……私もぎゅっとしがみつかれたいぞ! しかしアシュレム殿下とはまともに会話したことすらない私の立場では夢のまた夢……しかし私には可愛い息子達がいる! 「すみません、また急用が……」  と、部屋を出ようとした私の行く手を白い何かが遮る。それは私の身体に絡みついて動きを制限する。 「お前の浅い考えなんてお見通しなんだよ。これ以上遊び歩かせてたまるか」 「むぐぐ……」  顔まで白く細長い布に塞がれて少し息が苦しい。ああ、このかぐわしい雄の匂いはおそらく陛下の褌…… 「ぷはあ。仕方ありませんね。陛下との添い寝で我慢します」 「するかっ!」